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現地スタッフに楽しく、長く働いてもらうために必要なこと3つ

現地スタッフ(ナショナルスタッフ)にいかに楽しく、そして満足しながら長く働いてもらえるか?についてはこれはもう本当に、アジアで働いている経営者やマネジャーはみな悩んでいる共通の課題はないでしょうか。

私もタイで小さな組織をまとめながらお客様の組織人事の課題をサポートする立場として、この問題をどうしたらいいか日々考えていますので、今日はこのテーマでつぶやいてみます。



■ まずは「何のために、何年くらい、この会社にいるのか?」をちゃんと擦り合わせる

私がタイで聞く退職理由で最も多いのは「キャリアが見えないから」です。これは制度面もありますが、コミュニケーションの問題の方が大きいと思います。つまりスタッフのキャリアの目標に対して、「今この仕事はあなたにとってどういう意味があるのか」をしっかりと説明して接続してあげられていない、ということだと思います。

例えば弊社はベンチャーなので成長志向、独立志向の社員が多いですが、独立できるくらい成長して巣立っていってほしいと本当に思っています。ただその目標に対して今の力量を見ているとまだ不足があると思いますから、まずはそれをストレートに伝えています。そして君の素質はこれくらいあるから、あとはこれとこれを身に着ければ、どこでも通用するようになる、だから3か月ごとにその能力を確認しながら成長していこう、という話をしています。そして3年後にどうなっていたいのかもちゃんと確認するようにしています。結果として3年で辞めるかもしれませんし、それ以上いてくれるかもしれませんが、これくらいやらないとすぐに辞めてしまうリスクもある、と思ってやっています。

優秀な人ほど良いオファーも出ますし、他社に行きたくなるのは仕方ないです。そういう意味では、今のタイの環境だと3年いてくれれば御の字という感じではないでしょうか。私は個人的には3年くらい一つの仕事をしないと能力は高まらないと思っています。でも「石の上にも3年」という考えはタイ人には通用しませんから、この仕事を続けていくとどういう成長が得られるのか、という「成長のステップ感」をしっかり見せてあげなくてはいけません。これは上司の仕事であり、またHRの仕事でもあります。評価制度や面談の仕組みの中で社員が自分のキャリアを描き、またステップアップを感じながら仕事ができているか、またマネジャーはそれを運用できているか、をHRとしてはチェックする必要があります。

■「価値観にあった仕事のデザイン」と「季節感の演出」をする

次に多い退職理由は、口には出しませんが「マンネリ」、端的に言うと「つまらなくなる」ことではないでしょうか。仕事とはつらいものだ、つべこべいわずに我慢してやれ、という価値観は日本では通用しますが、そうまでして働こうと思ってくれる東南アジアの人は多くはありません。しっかりと仕事そのものを楽しい、魅力だと思ってもらう必要があります。

仕事そのものに色はついていませんから、結局は「意味づけ」の問題になります。どういう意味を持たせてあげられるかを、上辺ではなく、真剣に考えることです。例えば「人材紹介コンサルタント」という仕事なら、仕事内容だけを見れば「企業の求人と候補者をマッチングする仕事」であり、また「営業目標を達成する仕事」でもあると思います。でもそれ以上にいろんな意味のある仕事です。「企業の経営を熟知していないと出来ない仕事」であり、「人事の専門性を要求される仕事」でもあります。また、候補者とのかかわりで行けば「候補者の一生を左右する仕事」であり、また「人の悩みを解決してあげられる仕事」でもあります。優秀な人は、自分の価値観にあった「仕事の意味づけ」をしっかりと持ち醍醐味を感じながら仕事をしています。

こういう話をするとキレイごとと捉えられることも少なくありません。ですが、先ほども言ったように、仕事そのものには色はついていないのです。どういう仕事と捉えるかは本当にその人次第です。ただし、経験の浅い人が、仕事のネガティブな側面だけを見て「数字だけを追う仕事」などと捉えてしまうことは仕方がなく、そこで上司がサポートをしてあげる必要があります。その時に上司自身がその仕事をどう捉えているのか、という仕事観が問われます。自分なりの意味づけを真剣に語れるか、これは真剣勝負です。

また「意味づけ」だけでなく、仕事のデザインもしてあげることが大事です。例えば先ほどの人材紹介コンサルタントの例でいけば、その人が人事のスキルを磨くことに関心がありそうだったら、営業だけでなく、企業の人事課題に関するナレッジ集約のプロジェクトを任せるとか、エクストラの業務を一緒に部下と作っていくことが大切です。仕事は部下に合わせてデザインする、これが基本です。

もう一つは「季節感の演出」も大切です。日本だと春夏秋冬があり、「1年ひと仕事」という感覚がありますが、南国はずっと夏ですから、季節感がありません。かわりに、仕事のシーズナリティを業務のイベントなどで作ってあげることが必要です。仕事のヤマ場をうまくつくって、そこまで一巡して経験してみないとわからない、という感覚を持たせてあげることが大事だと思います。

■ 最後は気持ちで繋がれるか

最後は、べたですが、やはり辞める時は「気持ち」が切れてしまっています。特に我々のように上司が外国人だと、辞める前にホンネで相談してもらう、という関係になるのはなかなか簡単ではないのが正直なところでしょう。気が付いたら転職が決まっていて、事後報告だった、というのが普通の光景です。

ここに特効薬はありませんが、つまるところ普段からココロを通わせるコミュニケーションをどれだけできているか、です。ミーティング、面談、OJT、社員旅行、すべてがコミュニケーションの機会です。ここにどれくらい本気で臨めているかで、最後に自分に点数がつきます。社員旅行にいったものの日本人は別行動でゴルフに行った、という残念な話も聞いたことがありますが、それはもってのほかですね。

ここで大事なのは、「What」(何をやるか)ではなく、「How」(どうやるか)です。つまりどれくらい気持ちの入った場になっているかです。「月に1度全体ミーティングと、それから食事会もやっているし、社員旅行もやってるし・・・」という施策そのもの(What)に目が行きがちですが、それ自体にあまり意味はありません。そうではなく、ミーティングの雰囲気はどうか?遅れてくる人はいないか?パソコンを開いて実質的に話を聞いていない人はいないか?スタッフが議論する目つきは真剣か?ミーティングの意義や狙いをスタッフは理解しているか?という、ミーティングの「やり方」(How)の方がより重要です。 恋愛に例えると、「毎月デートしています」というのと、「そこで愛が育まれているかどうか」は別問題なのと同じです。

ココロを通わせる秘訣は、マネジャー自身が馬鹿になってしまうのが一番いいです。ただでさえ、お互いの第2言語である英語か、または通訳を通じたコミュニケーションになり通じにくいわけですから、ストレートに伝えるのが一番いいです。「頑張ってくれて感謝している」「今回の仕事の品質は素晴らしい」「こんなチームメンバーがいて最高だ」というのをもうストレートに伝えます。(もちろん思ってなければ伝えませんが。) ボスはとにかく我々に何か想いを注いでくれている、ということを常に感じさせることが大事なのではないでしょうか。(私はこれを「I love you作戦」または「松岡修造作戦」と呼んでいますw。)

・・・まぁこんな感じで私も試行錯誤しながら現地で仕事をしています。海外でマネジメントする日本人は大なり小なりこの問題に直面するのではと思いますが、みなさんと一緒に悩みながら、私も持論を磨いていきたいと思います。