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社長は社員に好かれるべきなのか?

答えは「Yes」でもあり「No」でもある。経営者というのは投資家の期待に応えるため、ビジョン実現のために仕事をするべきだ。そういう意味では社員に好かれるのはプロセスに過ぎない。

自分がこれまで見てきた経営者というのはほぼ例外なく社員から文句を言われていた。やれビジョンが無い、考えが古い、コロコロ方針を変える、現場のことが分かっておらず柔軟性が無い、社長は稼ぎが良くてズルい、さんざんな言われようだ。自分も従業員の時は一緒になって社長の文句を言っていたこともあった。経営者というのは例外なく社員から嫌われるものなのかもしれない。

しかし小さいながら組織を持つ立場になって思うのは、社員から経営者というのはどう頑張っても文句に繋がりやすい構造にあるという事だ。

ビジョンが無いのではなく、社員に伝わっていないだけ。伝えているつもりでも伝わってない。そしてせっかく伝わってもすぐ忘れてしまう。考えが古いのではなく、自分の信念に固執しているだけだ。コロコロ方針を変えるのは、環境変化に対応する柔軟な経営をしたいだけだ。現場の事なんて全部把握するより、もっと重要なやるべきことがトップには沢山ある。お金があるなら、自分のポケットに入れるより会社に使いたい。それでも少ない稼ぎで無理して社員におごっていたりする。社長の気持ちなんて社員にはなかなかわからないのだ。

それでもなお、社長が社員に嫌われ過ぎると、社員が辞めてしまって会社の業績が落ちていく。しかるに、社長には社員に好かれ、そしてモチベーションを上げる義務がある。かつて一倉定氏が「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部社長のせいだ」といったが、慧眼だと思う。全部を自分で受け止めて、それでも泰然としていられるくらいの器が無ければ、社長なんてやらないほうが良いと思う。