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ホンモノは語らず、ニセモノだけが語る

【ホンモノは語らず、ニセモノだけが語る】

来月またシンガポールに行って、日本から研修ツアーに来る学生に話をする予定です。最近の学生は本当に優秀なので、いろいろと意見交換ができるのが楽しみです。少なくとも僕が大学生の時にはシンガポールに研修ツアーに行こうという発想すらなかったので・・・。自分なりに貢献ができるよう頑張って準備しよう・・・と思っているところ。頑張らねば。

ここタイのオフィスにも来月から1人学生インターンを迎えることになり、活躍が楽しみです。その選考の際に多くの方とSkype面談をしていろんな学生の方と触れあいました。ただその際に、いわゆる最近の意味での「意識の高さ」を持った学生さんが少なからずいて、そういうのはちょっと気を付けたほうがいいのかなー・・・と改めて思ったりしました。

「●●インターンに参加して、△△サークルの幹部で、将来はグローバル人材になって起業したいです!」みたいな話をする学生さんが(僕の観察範囲だけかもしれないけど)さらに増えているような気がします。どう返していいのかわからないので「・・・ところであなたは何をしたい人なの?」と聞くと、「まずはいろいろ経験を積みながら模索します!」みたいな答えが返ってきてしまう。また別な学生さんは「将来はエンジェル投資家になりたいです」と言ってましたが、どうしてそう思うようになったんだろうか・・・と個人的には理解がなかなか追いつきません。

経験とかスキルを積むことを否定はしませんが、それ自体は何かのWhat(対象物=ビジネスだったり、夢や目標だったり)に向けたただの手段(How)です。Whatが見えずにHowばかり積み重ねるのは、それが目的化してしまうと果たしてそれでいいのか・・と感じてしまいます。例えて言うと、「スポーツはまだやってませんが、いずれどんなスポーツでもできるようにいろんな筋力を鍛えてます!」「いずれエンジェルとしてスポーツチームを経営したいです、スポーツはしてませんが。」みたいなちょっと変な感じがします。

ただこれは学生が悪いのではなく、正直言って我々大人側の責任を感じざるを得ません。「これからは起業だ!アジアだ!グローバルだ!世界のエリートは凄いぞ!」という大人が増えているせいもあるでしょう。ある文脈ではそれも正しいのかもしれませんが、それをあたかも万人にとって正しいかのように喧伝するのは間違っていると思います。大人の役目は一人一人にとって正しい選択を見つけるためのサポートをしてあげることだと思っています。

特に、本当にWhatの実現に努力している人は、それを人に喧伝するようなことはしません。なぜなら、「人生には、ひとりひとりがそれぞれ別の"なすべきこと"がある」ということをわかっているからです。それを横目で見て「一流はみんなこうしている」というのは、一流を垣間見ただけの二流の人です。「グローバルリーダーはこうしている!」と語っている人は、たぶんグローバルリーダーではないです。本当の一流は自分のなすべきこと(What)に向けて努力をすることで、結果として他者をimpressするのだと思います。

昔はロールモデルというと会社の先輩か、学生時代の先輩くらいでした。今はインターネットのおかげでいろんなロールモデルが手に入るようになりました。ロールモデルは自己成長を考える上で非常に重要なので、ある面ではよい時代になったなぁと思います。僕もネットのおかげでたくさんの刺激を得てここまで来ました。

一方で、ネットが間違った情報を与えてしまう危険性もあるな、と最近は感じます。学ぶ側のリテラシーも問われているのだと思います。表面的な情報に踊らされず、その人の本質をどう見るかが求められています。大事なのはその人が「言っていること」ではなく「していること」を見ることです。リアルの世界では「仕事ぶり」でロールモデルを見つけることができました。Webではそういったリアリティが抜け落ちてしまう面もあるので、そういう意味では直接会う、というのもまだまだ大事なのかもしれませんね。

自分はまだまだ偉そうなことを言える立場では無いですが、仮にも人材育成の末席にいるものとして襟を正していかないといけないですし、また業界が間違った方向にいかないよう責任をもって仕事をしていかないと、と思う今日この頃です。