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アメフト問題:腐ったリーダーを生むのは何か

アメフト問題、断片的にしか見てませんが、「真実を語らず、責任回避をしようとするコソコソした大人」と、「真実を語り、勇気をもって対峙する堂々とした若者」の対立構造がひどいこの問題。さらには若者にも下品なインタビューをする大人げないマスコミも同様にひどい。

若者には、こんな大人たちこんな日本で申し訳ないという思いがする。そして、こんな中でも正しさを貫いてくれて本当にありがとうと言いたい。どうか腐らず、自分が信じる正しさを大切にして生きていってほしいと思う。共感し応援している人はたくさんいる。

コソコソした大人たちも、昔は立派な青年だったのかもしれない、とも思う。スポーツで頂点に行くような人たちだ。心身ともに鍛えあげなければそこまで行けるはずもない。相撲協会なんかもそうだけど、なぜこうも大人になると腐ってしまうのだろう?

人間を腐らせるのは「組織」なんだと思う。硬直した組織の中では、自らの意見を抑え空気を読むことが求められるから、本音を言わないことに慣れていく。タテ社会の中では、上位者へのフィードバックもないため、嘘をついても自分が間違っていることすら気づかない。それを何十年と続けていくと、嘘を嘘とも思わないリーダーができあがる。

特に流動性が低い組織ではこれが起こる。人の出入りがあると、外から入ってきた人が「これはおかしい」と言ったり、逆に出ていくことで悪評が広まるので浄化作用が起きる。ただ、スポーツ組織の場合、相撲は相撲、アメフトはアメフト、それぞれのスポーツに関わって生きていく。他のスポーツ組織に移ることはないし、その逆もあまりない。

企業組織も同じ。転職の少ない閉鎖的な大企業では同じことが起き、不正や粉飾を生んできた。組織のリーダーというのは正しい「自己認知」を持たないといけない。自分は周りからどう見られているのか。そしてそのために「フィードバックを受け入れる」という姿勢を持ち、常に自分の襟を正すことが必要。ただ閉鎖的な組織ではそういうマインドをはぐくむ機会が少ないため、卑怯なリーダーも沢山生まれる。

ただ、個を憎んでも問題は解決しないとも思う。人間は生来的に弱い「生弱説」に立つと、誰しもが環境によっては残念な大人になってしまう可能性を秘めている。憎むべきは、人ではなく組織だ。そうでないと構造的な問題は変わらない。今回の腐った大人たちには大変残念な思いだけど、こうした大人を量産しないための仕組みにも目を向けたい。