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リクルートのDNA(4)最終回

人材輩出企業で知られるリクルートの文化の根っこは、当然ながら江副さんの思想によるところが大きい。そして、改めて本書を読むと、江副さんは商売の天才でありながら、決してリーダーとしてはカリスマではなく、それ故に周りの人が生かされ育ってきたような面があると感じます。

私は子供の時からケンカが弱く、他人と競うことを避けてきた。人を統率する力はとても弱い。いつも会社のトップでいる事がつらかった。そのため社員のだれよりも懸命に働こうと、一番に出社、夜は最後に電気を消して鍵をかけ帰っていた。

(社員での結婚式の話)
あるとき、「本日はお招きいただきありがとうございます。えーと、、」とあらかじめ準備した言葉が出てこなかった。思わず私は「昨晩、ご挨拶の準備をして参ったんですが、急に思い出せなくなりまして・・」と言ったら、静まり返っていた会場が笑いの渦となった。以来、自然体で話をするようにした。

私は内気で話し下手。しかし、社員に向けて話をしなくてはならない。そこで、新入社員歓迎社員総会や決算の社員総会の際には、2,3日前から秘書の鶴宏明と、どのような話をするのか骨子を考え、彼が社内の各事業部門を回り面白いエピソードを聞いて来て、会社と各事業部門の話を組み立てた。前日には応接室でリハーサルを行って、当日は聞く人にわからないよう名刺二枚ほどの大きさのメモを社員に見えないように演題の片隅に置きながら、全社あるいは各事業部門のスピーチに臨んでいた。

私は社内に向け、「社は社員同士の付き合いが多くなりがち。視野を広げるために、心がけて社外の人との会食などの機会を持つように」と呼び掛けていた。”外飯・外酒”をといって、お得意先や社外の人との会食を勧め、勉強会や研究会への参加も奨励した。

リクルートやその流れをくむ会社では、コミュニケーションすら「仕組み化」されている。イベントや社内報など、いろんな方法を織り交ぜてコミュニケーションを起こさせる仕組みがデザインされており、ご自身は内気で話下手であっても、そのシステムを通じて組織を活性化させる手腕はやはり経営者として素晴らしい。

リーダーの資質の最も重要なことは「正直さ」なのではないかと思う。決して自分を大きく見せることなく、率直に人と接し、また商売と向き合ってきた江副氏という人物はやはり昭和の日本を代表する稀代の経営者であることは間違いない。

たまたま本棚の奥から出てきて再会した本書でしたが、経営者という立場で読むとまた違った深みがあり、色々な気付きを頂けました。また折に触れて読み返していきたいと思います。

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

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