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「あなたはNew Japaneseですね」と言われた日から世界が変わった件

昨日は懐かしい友人と数年ぶりにバンコクで再会。外資系でマネジャーとして働く彼は、アメリカ赴任なども経てすごく充実したキャリアを送っているように見えた。

話しているうちに、ふと自分がシンガポールに居た時の話になった。当時僕はシンガポールの事業立ち上げ担当としてマーケット開拓に奔走しまくっていて、毎日飛び込みや電話がけなどで人種問わず色んなリレーションを作ろうと頑張っていた。シンガポールのクソ暑い工業団地を汗ダラダラ流しながら営業して回っていたことを今でもよく覚えている。そうこうしているうちに、少しずつ仲の良いシンガポール人ができてきて、またお客さんも掴めてきた。

あるシンガポール人のおじさんが、「長年私は日系企業に勤めてきて、色んな日本人と付き合ってきた。でも君のようにシンガポーリアンとちゃんと関係を作ろうとした人にはあまり出会ったことが無い。あなたはNew Japaneseですね」と言ってくれたことを覚えている。それを聞いて自分は、少し誇らしい気持ちになった。少しでも日本人の良いイメージに貢献できたのかもしれない。その一言が、自分がその後進むべき道を示してくれたような気がしている。自分は日本人の代表として、アジアで勝負していこう。そしてそれがきっと日本のために役立つはずだ。そういうことがスッと腑に落ちたような、そんな瞬間だった。

あれから5年。東南アジアでずっと仕事をしているけど、その思いは変わっていない。遠くから日本を思うと、やはり日本は素晴らしい国だなと思う。人も文化も技術もある。でもその素晴らしさが伝わっていない。感じるセンスのある人にはメチャメチャ刺さっているけど、伝え方が上手いとは言えない。かといって、「日本はクールです」と自分で伝えるのはナンセンス。滲み出しで、自然と感じ取ってもらえる伝え方をしなくてはいけないんじゃないか。自分は、自分自身の在り方や、自分のビジネスの成長によって、結果として日本人は素晴らしい、と思ってもらえれば、と思って仕事をしていきたい、と思っています。

数十時間分の仕事が一気に進んだ瞬間

今週は東京からビジネスパートナーにタイに来ていただいて、あるサービスローンチ案件のMTGをしています。本案件は約1年前から温めてきて、半年前から本格始動。僕も毎月のように日本に帰って、色々なことをすり合わせしてきました。

今回はじめてそのチームにタイに来ていただいてうちのチームとMTGを持ったり、勉強会を開いてもらったりしたのだけど、色んなことが一気に進んだ感触があります。これまで数十時間分かけてきたミーティングと同じくらいの価値が、今日の1日だけにあったような気がします。今後のために、この手のコラボレーションを効率的にすすめるためのポイントをメモしておきます。

1)現場を見る
今回はとにかく顧客を回って話を一緒に聞く時間を過ごしています。今まで顧客ニーズは僕の口から何度も説明してきました。でも百聞は一見に如かず。ダイレクトにマーケットを見て、顧客に会ってもらう事のパワーは計り知れません。

2)一緒に固まりの時間を過ごす
例えば合計10時間でも、1時間を10回と、10時間を1回では、深まり方が違います。後者の方が関係性や思考の深まりが得られる気がします。以前、別のポストで一緒に出張することのチームビルディング効果を書きましたが、それと似たように感じます。

3)チームに混ぜてしまう
コラボレーションのきっかけは社長の僕ですが、実務に当たってはうちのチームと進めて行きます。ゆえに、メンバーと直接やり取りをしてもらうことで、その後の業務が進めやすくなるし、またメンバーのモチベーションにも好影響を与える気がします。

というわけで、クロスボーダーコラボレーションを今後もどんどん進めますが、色々と学びの深い案件となっています。一つのプロジェクトを立ち上げるのには2年はかかる、というのがこれまでの経験則ですが、少しでもスピードを上げられるように、この学びを生かしていきたいと思います。

薬を使って病気を治すことへの考え方の違い

週末体調をがっつり崩しまして、たぶん胃腸風邪だと思うのですが、寝込んでおりました。妻の弟夫妻がタイに来ていたので、せめて食事くらいはご一緒したく、薬を使って何とか熱を押さえてアテンドしました。 熱が出た時に、タイはじめアジア諸国で最もポピュラーなのは「パナドール」ではないでしょうか。

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このパナドール、日本では認可されていないのですが、とにかくめっちゃ効きます。昨日も飲んで2時間くらいで熱も下がり、だるさも取れました。恐ろしい効き目です。とはいえ、これは薬で症状を押さえているだけなので、時間が経てばまた症状が復活してきます。あくまで解熱鎮痛剤、というわけです。困ったときはこれが助かります。

日本人は「内側から治す」的な信奉があるので、この「薬で症状を抑える」という考え方ってあまり好まない人が多いですよね?でもこれって海外の病院にかかったりすると、考え方の違いに驚かされます。

以前シンガポールの病院に子供を始めて連れて行ったときに、待合室で、「とりあえず解熱剤を飲め」と言われて驚きました。解熱剤を使ってしまうと治りが遅くなってしまうというのが日本の常識なので、「治りが遅くなるのでイヤだ」というと、不思議な顔をされました。割と海外暮らし初期の経験だったので、考え方の違いに驚いた記憶があります。タイの病院でも同様の経験があります。

とりあえず熱は下げたほうがラクになっていいだろう、という考え方で、良かれと思って出してくれるわけですが。薬一つとっても文化の違いがありますね。

会社を辞めていく社員を愛し続けることが出来るか

先日スタッフと話していて、「フラットに見てうちの会社は若い人が多いから、みんな3年くらいの周期で辞めていく可能性はあると思うよ」という事を言っている人が居ました。少し寂しい気もしますが、優秀な人がキャリアを積んでいく上で、他の場所に行って異なる経験を重ねたくなるのは世の中の常だと思いますから、その可能性は否定できないでしょう。

実際僕自身も、3~5年くらいの間に転職をしてきたわけなので、その場所で十分やり切ったうえでの転職なら価値があると思っています。しかもタイなら1年~2年が普通なので、3年居てくれればよいほうかもしれません。スタッフがいずれは入れ替わる可能性も想定しつつ、それでもなるべく長くいてもらえるように最大限マネジメントの努力をする、というのがどんな会社の経営者にも必要な態度だと思います。

いつも思うのですが、「辞めた後の成功を願えるかどうか」が会社の器、経営者の器、だと思います。すごく下世話な例えをしてしまえば、別れた彼女に対して、「あいつなんて不幸になれば良い」と思うのか、「自分とは別れたけど誰かと幸せになってほしい」と思えるのか。それも男の器だと思いますが、似たような話です。

何の因果か、その従業員は、世界にあまたある会社の中で自社を選んでくれて、たまた数年間、時間を投資してくれたわけです。それだけで奇跡的なことです。会社に害をもたらす悪人でない限りは、会社が持つべき感情はまずは感謝ではないでしょうか。

そして辞めた後の成功を願うのであれば、その会社にいるうちに「その人がキャリアで成功するために必要なサポート」をしてあげるべきでしょう。辞めた後のことまで心配してやるなんて何てお人好しな、と思うかもしれませんが、優秀な人ほど、社外に出た後も自社に色々な形で貢献を返してくれます。何より、その人が活躍することは、会社のレピュテーション上、絶対にプラスです。マッキンゼーリクルートなど、人材輩出企業として知られる会社は離職者を大切に扱っています。ああいう会社を見ていると、人材を輩出することで良い人材がより入ってくるようになる循環を作ることの重要さを感じます

こういう文章を書いているのは、社員との関係に色々と日々思うことがあるからなので、僕自身がそこまでの懐の深さが身についているのかどうかわかりません。それでも、少しでも器の大きな経営者になっていけるよう、修行していく以外にありません。

普段とは違う立場を経験することによる気付きのインパクトは非常に大きい件

今度、社内で一日のオフサイトミーティングを実施する予定で準備をしています。普段はそういうものを企画して顧客に提供する側なのですが、今回はあえて外部のファシリテーターに課題をヒアリングしてもらい、セッションをデザイン、進行してもらうことにしました。

先日ヒアリングに来てもらったのですが、今のところこれがなかなか新鮮で、新しい視点をもらえています。特に社長と社員という関係性に第三者という新たな関係性が加わることで、普段言わないような話をみんなするようになります。我々が出しているバリューの一部がまさにそれなのですが、出している側は意外とそのバリューを実感できません。こういう学びは普段の仕事からは得られない気がします。

こういう「視点の入れ替え」という手段は、学びを生み出す有効な手段です。10年ほど前に私の妻が妊娠した時は、地域のコミュニティルームにこれからパパになる人が集められて、「妊婦の気持ちを体験する講座」というのが受講しました。重いオモリを体にまとって日常生活の動作を取ってみるのですが、妊婦として生活するのが以下に不便かを体験する、、、というあれです。ベビーカーを押して街中を歩いてみる、という体験講座もありますよね。「子供を産み育てるってこんなに大変なのか!」と男性にショックとともに気づかせる、有効な手法だと思いました。

企業のトレーニングでは、上司に部下の立場を体験させるワークなんかは色々なところで行われています。普段指示の「出し手」の人たちに、逆に指示の「受け手」になってもらうことで、わかりやすい指示とはなにかを理解させる手法です。ものを売る人であれば買い手を経験させる。接客する人であれば、接客されてみる。こうした立場の入れ替えは、「固定化」した視点を新たなものにさせる有効な学習方法です。

さて、そう考えると、我々経営者が学び続けていくためにはどうしたらよいのでしょうか。トップリーダーというのは「部下はいるけど上司がいない」という立場なので、ラクですが視点が固定化しやすいなと感じます。自分の会社とは別に何かの団体で、誰かリーダーのもとで活動をしてみるというのも良いかもしれません。また、いくつになっても、どれだけ偉くなっても、メンターと呼べるような人を持ち、学び続けていくというのも重要と思います。常に自分の視点が固定化していないか?気を付けたいと思います。

世の中は繋がっているので、信用を失ったツケはどこかで回ってくるという話

採用面接で、あるキャンディデートが一見良い感じだけど、どうも態度が気になるなーと思って、たまたまつながりがあるその彼の前職関連に問い合わせたら、残念ながら素行があまり良くなかったことがわかり、採用を見送ることにした、という話。

今の時代、自分の目の前の人は他の知り合いの誰かと繋がっている確率は非常に高い。また以前は繋がっていても話題に出ない限り確認されなかったけど、今はSNSでそのつながりが可視化されているのでアクセスされやすくなっている。ゆえに、相手によって自分を良く見せたり、といったことが出来づらい時代。

悪い評判というのは残念ながら伝わるので、あるところで誰かに失礼なことをしたり、また信用を失うようなことをした場合は、そのツケはどこかで回ってくる。周囲の評判は最悪だけど、Web上では有名で著作も良く売れてる、といったことがかつてはあったけど、今はちょっと調べればそういう評判もわかってしまうので、そのギャップはだいぶ少なくなったのではないか。

求職者として気を付けたいのは、どんな経緯であれ、お世話になった会社や同僚への感謝を持ち続けること。昔から、「その人のいないところで、その人の悪口を言うな」と言います。インターネットがあろうが無かろうが、その大切さは変わっていません。

また、仮に前職での経験が良いものではなかったとしても、絶対の環境のせいにしないこと。ビジネスの状況が悪かった、上司が悪かった、等色々とマイナス要因を並べ立てることはできるけど、よほどのバッドラックでない限り、優秀な人はその環境の中でどうするか、を考えて何かしらの結果を出します。そういう経験があれば、どんな過去でも前向きに語れることは必ずあります。環境を悪く言うのは自分が努力しませんでした、と言っているようなものです。そう考えるとやはりそれぞれの在職期間が短いのは僕は気になってしまいます。「石の上にも3年」は日本だけに通じるではないと思っています。

インターネットの時代だからこそ、ますます「信用」が重要になるなー、と改めて感じた出来事でした。

マネジャーの仕事は「いなくなる」こと。

先日、バンコクで「生産性」についての勉強会をしていて、海外で働く日本人マネジャーはとにかく忙しいという話になりました。

海外日本人マネジャーは「兼務地獄」だと言われます。一つは横の兼務。経理の経験しかないのに、海外拠点は人が居ないので人事・総務・経理・ITのマネジメントを兼務させられててんやわんやになる、というのがよくある話。さらに厄介なのは縦の兼務。自分の下の現地人マネジャーがいない、または任せられないので自分がラインマネジメント業務を兼ねてしまっている、というケース。こちらは実務も発生するのでここで時間がさらに取られます。

この状況を解消するためには、とくに「縦」の方の解消をなんとかしないといけない。でも、下にいるローカルマネジャーは頼りない。じゃあその彼を外して、新しいマネジャーを採用してくるか、といってもそんなに簡単にはいかない。かくして多忙な日々は続く・・・(エンドレス)というのがパターン。

育っていないから、任せられない。でも、任せないと育たない。これはマネジメントにおける鶏と卵なわけだけど、突破口は「まず任せる」しかない。しかも、中途半端ではダメで「徹底的に手放す」ことをしないといけない。自分が手綱を持っていると、その人は本当の意味で主体性を発揮してくれない。

ポイントはいくつかあります。一つは、その会社にとって正しい人間性・価値観を持っている人に任せること。正しい価値観さえ持っていれば、スキルは伸ばせる。あとは育てる側の我慢。人間性が間違っている人を選んでしまうと、問題が起きた時に、信頼が持たない。

それからその人に正しい期待が伝わっているか。何をやってほしくて、何をやってほしくないか。その期待を明確に伝えたうえで、その範疇であれば思い切って任せてしまう。そして、多すぎない程度に、報告の頻度とレベル感を擦り合わせること。

それをしたら、最後は「いなくなる」ことです。MBA=Management by Absenseという言い方もあるようですが、意図的に自分が消えた状態をつくって、オフィスを回させてみるということも必要だと思います。自分がいなくなってもオフィスが回るような状態を作るには、自分がいなくなる時間を増やすしかありません。

自分ができているかというとまだまだですが、、、この四半期は積極的に「いなくなって」行こうと思います。