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異文化コミュニケーションの肝は「ひと手間かける」こと

異文化コミュニケーションの要諦は、「相手の立場に立つ」とか「前提の違いを受け入れる」というメッセージが多いですが、ややマインドセット寄りで再現性に欠けるのではと思っています。大切なのはアクションベースの変革で、具体的には面倒がらずに「ひと手間かける」ことではないでしょうか。

例えばEメールの受信者に、非日本語スピーカーが一人でもいるのであれば、英語の文章を併記するのが、相手に対する配慮だと思います。毎回それをやるのは面倒ですし、時間も倍以上かかります。でも、面倒だからといって相手にわからない言語で書いてしまうことでお互いのリスペクトを損なうことは、ボディブローのように組織に効いてきます。

先日知人が、「飲み会の席でも日本人以外がその場にいたら、なるべく英語で話そうよ」とつぶやいていました。僕もそれに共感します。「話そう、伝えようとする姿勢」が大事なのです。英語ができなければ、英語で言える部分だけ最大限言って、どうしても日本語でしか言えない部分は友達に訳してもらってもいいんです。相手とコミュニケーションしようとする姿勢を見せることが大切です。私は、日本語しか話せない人がいる場面では、日本語と英語を、同じ話を2回ずつするようにしています。これもかなり手間ですが、お互いの関係をよくするためには必要だと思っています。

企業では、ミーティングの言語をどうすのか、で考え方が分かれます。海外拠点の場合は公用語を英語にしているケースが多いですが、それだけで意思統一が図れているかというと実は十分ではないことも多いです。ある企業では、英語で会議した後で、その内容を今度は現地語(タイ語)でもう一度伝えなおす、ということを毎回やっている、と言いました。これもなかなか手間ですが、この「手間をかける」執念がとても大切だと思います。

私は、まずは自分からということで、メールのバイリンガル化は実践しています。また、弊社のコンサルティングサービスはトリリンガル(3言語=日・英・タイ)で提供しています。同じ資料を3言語で用意することもよくあります。海外の組織課題は、かなりの部分が言語ギャップに起因するのではないか、というのが現地で組織コンサルティングをしている感触です。言語に「ひと手間」かけながら丁寧に組織のコミュニケーションをつないでいく、というのは多国籍組織のマネジャージャーには必要なマインド、スキルだと思います。

繰り返しますが、大切なのは言語能力ではなく、「ひと手間かける姿勢」です。