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会社を辞めていく社員を愛し続けることが出来るか

先日スタッフと話していて、「フラットに見てうちの会社は若い人が多いから、みんな3年くらいの周期で辞めていく可能性はあると思うよ」という事を言っている人が居ました。少し寂しい気もしますが、優秀な人がキャリアを積んでいく上で、他の場所に行って異なる経験を重ねたくなるのは世の中の常だと思いますから、その可能性は否定できないでしょう。

実際僕自身も、3~5年くらいの間に転職をしてきたわけなので、その場所で十分やり切ったうえでの転職なら価値があると思っています。しかもタイなら1年~2年が普通なので、3年居てくれればよいほうかもしれません。スタッフがいずれは入れ替わる可能性も想定しつつ、それでもなるべく長くいてもらえるように最大限マネジメントの努力をする、というのがどんな会社の経営者にも必要な態度だと思います。

いつも思うのですが、「辞めた後の成功を願えるかどうか」が会社の器、経営者の器、だと思います。すごく下世話な例えをしてしまえば、別れた彼女に対して、「あいつなんて不幸になれば良い」と思うのか、「自分とは別れたけど誰かと幸せになってほしい」と思えるのか。それも男の器だと思いますが、似たような話です。

何の因果か、その従業員は、世界にあまたある会社の中で自社を選んでくれて、たまた数年間、時間を投資してくれたわけです。それだけで奇跡的なことです。会社に害をもたらす悪人でない限りは、会社が持つべき感情はまずは感謝ではないでしょうか。

そして辞めた後の成功を願うのであれば、その会社にいるうちに「その人がキャリアで成功するために必要なサポート」をしてあげるべきでしょう。辞めた後のことまで心配してやるなんて何てお人好しな、と思うかもしれませんが、優秀な人ほど、社外に出た後も自社に色々な形で貢献を返してくれます。何より、その人が活躍することは、会社のレピュテーション上、絶対にプラスです。マッキンゼーリクルートなど、人材輩出企業として知られる会社は離職者を大切に扱っています。ああいう会社を見ていると、人材を輩出することで良い人材がより入ってくるようになる循環を作ることの重要さを感じます

こういう文章を書いているのは、社員との関係に色々と日々思うことがあるからなので、僕自身がそこまでの懐の深さが身についているのかどうかわかりません。それでも、少しでも器の大きな経営者になっていけるよう、修行していく以外にありません。