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起業、人材、アジア、などなど

海外就職のメリット・デメリット

最近日本から弊社(タイ法人)で働いてみたいという問い合わせが増えてきました。日本でも海外就職の流れが徐々に高まっているのだと思いますが、受け入れる側としては入社してから失望させてはいけないので、海外就職のリアリティをしっかり伝えながら採用活動をする必要があると思っています。 

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 バラ色ではない海外就職

以前、「海外就職なんか絶対やめておけ」という記事が非常に的を射ているとして話題を呼びました。個人的にもここで書いてあることはとても正しいと思っています。 

現地採用就職の現実なんて、お給料が驚くほど安いし(駐在員の10分の1の場合も)、ブラック企業が(日本で有名な会社であっても)殆どだし、駐在員は本当に仕事しない(または出来ない)で待遇だけ良いし、パワハラ天国だし、帰国後に日本で海外経験が評価されるかと言うとそうでもないし、、。 

  海外の日本人コミュニティはいわゆる「駐在員」と「現地採用」というクラスタに2分されています。(最近はそこに第3のセグメント「起業家」というのもできつつありますが。)ざっくり言ってしまえば駐在員は会社から手厚い福利厚生が与えられ、比較的余裕のある生活ができます。こうしたベネフィットは不利益変更が難しいため、かつて日本が景気が良かったころの制度が比較的維持されている会社も多く、かなり優雅な生活をしてらっしゃる方もいます。

一方、自身の判断で海外に出てきた現地採用の方はそうしたベネフィットはなく、ローカルスタッフ+αの給与で仕事をされているため、駐在員のような暮らしはできません。また、上記にあるように強い想いを持って海外に飛び出してきている人が多いのに対して、その上司となることが多い駐在員は海外に自分の意志で来ているわけではないことも多々あり、そのモチベーションの差によって悩む、という話もよく耳にします。

 

海外就職の魅力は「自己効力感」

そんなことが言われながらも、海外で就職して充実感を覚えている人もたくさんいます。先日公開されたこちらのライフハッカーのブログでは、海外就職について魅力的に語ってくれています。その中で、仕事をしていて感動したシーンがあります。

私は英語もタイ語もできないままバンコクへやってきました。職場にはタイ人とアメリカ人がいて、もちろん日本語は話せません。つたない英語と幼児のタイ語でなんとかコミュニケーションをとったりしていたのですが、ある日、自分がもう1つの言語を使えることに気がつきました。
エンジニアであるアメリカ人とペアプログラミングしていて、「ここはこういうことだからこうしたほうが良いのでは?」と言いたくてそれをなかなか英語で伝えられなかったとき、ええいキーボードをくれ! こういうことだ! とコードを書いてみせたら、すんなりとそれが説明できたのです。相手も「なーんだ!そういうことね!」とすぐに理解してくれて、それから仕事中はコードで会話するようになりました。
そうだ、わたしは日本語とプログラミング言語を話せるバイリンガルだったのだ! これを使えば世界中のエンジニアとコミュニケーションがとれるのだ!と気づいたときのあの爽快感はちょっと筆舌に尽くせません。

 海外で仕事をしていると「自分は何ができるのか?」を問われます。会社の名刺を出しても、日本の出身大学を伝えても、相手はそれを知らないことが多い。自分自身の人間性やスキルを持って自分自身の存在を明らかにしないといけない。それができたときに、自分は価値のある存在であるという実感が得られるのではないでしょうか。そうした”自己効力感”は何物にも代えがたいモチベーションになります。

ちなみにこれは日本の大都市から地方に転勤するとか、大企業を辞めてベンチャーに転職した場合にも似たことが言えます。より規模の小さい環境に身を置くことで自分自身の自分自身の重要性が増し、効力感が得られます。しかし海外、特にアジアがよりそうであるのは、規制やルールが少ないためによりダイナミックに仕事ができること、市場全体がまだまだ伸びているために新しい事業や仕事に取り組みやすいこと、などがあるでしょう。

また、これは国にもよりますが、海外就職の大きなメリットの一つがプライベートの充実であることは触れておくべきことでしょう。

贅沢についての話をしますと、私にとってのそれは島で過ごす週末です。刺激と喧噪のバンコクからローカル感あふれる静かな小島へ、バスと船を使って3時間。1年中いつでも、海を眺めてビールを飲んで「何もしない」をしに行けるというのは、「ああ、この南国の都市で働いていてよかった!」と思える至福のときです

 リゾートに近く、またすべてが安いゆえにダイビングなどの趣味で週末を充実させる人もたくさんいます。また、日本と違うのは東南アジアは残業が無い社会なので、平日も充実します。東京に比べてアジアの大都市は比較的コンパクトで職住近接なので、家族を持っている人にとってもメリットが大きいです。私がいるバンコクではお父さんが幼稚園に子供を送ってから出勤、という光景も普通にあります。個人的には、子育て世帯こそ海外就職を検討するべきではないか、と私自身タイで子育てをしながら実感しています。

 

「雇う側」が変わっていく

結論としては、日本人にとっての海外就職は今後はより魅力的なものになっていくと、私は希望を持っています。それは「雇う側」が変わろうとしているからです。

最初に駐在員との意識ギャップを上げましたが、大企業のほとんどは駐在員を大幅に削減する「経営の現地化」を目指しています。日本企業にとってアジアは、かつての「モノを作るアジア」から、「モノを売るアジア」へと位置づけが変わっています。そうなると現地で開発、マーケティング、営業、を行っていく組織づくりが求められるため、駐在員の裁量権を極力減らしていこうというのが現在の各社の戦略です。

そこにおける現地組織には、現地採用の日本人も含まれます。ローカル社員と、自分の意思で現地に来た日本人が力を合わせて現地組織の経営をする時代が来ています。そこにおいては、上述したような組織内の意識ギャップは徐々に減っていき、現地採用社員にももっと活躍の場が与えられるようになっていくと思います。もちろんその変化には給与などの人事制度の改訂も伴っていきます。

もう一つの「雇う側」の変化は、ベンチャー企業の台頭です。昨今、優秀な起業家がアジアでビジネスを立ち上げています。そうしたスタートアップは、一緒にチャレンジしてくれる優秀な日本人スタッフを求めています。そうした企業には時に大企業にあるような理不尽さは少ないですし、また海外+スタートアップという経験から得られるものは本人のその後のキャリアにとっても大きなプラスとなることは間違いないです。

 

「若者よ、どんどん海外を目指せ!」と軽々しく海外就職を勧める論調には私は必ずしも与しません。人に煽られて出ていくのではなく、しっかりと情報収集し、メリット・デメリットを自分の頭で考えて決断してほしいと思います。しかしながら、大きな流れとしては日本人はもっと世界で活躍してもいいんじゃないかと思っていますし、そのほうが本人のキャリアや人生の充実にとってプラスである、と私は信じています。それを進めるための環境がこれまでなかなか整ってこなかったことは事実としてありますが、企業側が変わろうとすることでその状況を変えていけると思っています。

私自身は、アジアで展開する一つのベンチャーとして、また現地企業の経営を支援する立場として、少しずつできることをやっていこうと思っています。

・・・ということで東南アジアでの就職に興味のある方、ぜひご連絡ください。(笑)

 Asian Identity | Asian Human Resource Consulting Company

メールはこちらまで →nakamuraあっとa-identity.asia