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起業、人材、アジア、などなど

起業して一年たって感じたことのまとめ

先週でタイで起業してから一年が経ちました。一年前に「これから最高の人生が始まりますよ」と言葉を掛けてくれた人がいましたが、振り返ってみるとまさにそうでした。人間というのは大変であればあるほど、そこに充実感を見出すんだなぁということが身を持ってよくわかりました。まだ歩き始めたばかりですが、一方でとても色々な学びがあった一年だったので、感じたこと・学んだことをつらつらとまとめておきます。乱文ですがお許しを。

まず大切なのは理念。起業すると「何をしたいの?」を人に説明し続ける日々が始まります。その際に僕が大切だと感じていたのは「社名」です。僕が「アジアの多様性を生かした経営をサポートする」という想いでつけた社名が「Asian Identity」。実はこの1年、この社名に何度助けられたかわかりません。社名の説明をすれば僕のやりたいことが伝わるので、スタッフ採用や顧客へのプレゼンにもとても役立ちました。理念を詰め込んだ社名は有効なブランディングツールになることを学びました。タイのパートナーから「社名を聞いてピンときた。一緒に働きたい」と連絡がきたこともあります。こうした学びは、クライアントへのコンサルティングに非常に生きていて、理念をしっかり言葉にすることがいかにビジネスをする上で大切かをお伝えしながら、プロジェクトをしています。

次に大事なのがお金。この一年、頭の中の8割以上はお金のことが支配する日々でした。「スタッフの給料を払い続けられるだろうか」「ところで我が家の半年後の幼稚園の費用は払えるんだっけ」とかそんな心配ばかりしていました。「忙しくて・・」という理由で飲みの誘いを断ったけど本当はお金がなかった(使いたくなかった)から、という頃もありました(ごめんなさい)。 お金について色々と考え出すと時々ヤバイ気持ちになりましたが、なんかそういう感覚も途中からマヒしてきたので、あぁ人間ってのは色んな事に慣れてくんだなと思いました。(今は一応飲みに行けるようになりました)

またお金については、起業の時に頂いた「資本政策は後戻りできないですよ」というアドバイスが最も役立っています。僕の場合は資本構成自体は100%で始めましたが、これが本当に良かったと思っています。日々の意思決定が迅速にできますし、少し思い切った攻めの投資も躊躇なくできました。結果、スピーディーでアグレッシブな経営が多少はできてきた気がします。もちろん、資本政策はビジネスモデルと相談しながら柔軟に考える必要があることは言うまでもないですが。

次に戦略。当初、自社のポジショニングや競争戦略など紙の上で色々と考えましたが、結局は「やってみないとわからない」ことばかりだと思いました。「戦略=やらないことを決めること」と経営の教科書には書いているので、自分なりに「やらないこと」を決めてやってきましたが、一年の間で何度かそれを自分なりに納得した上で破りました。美しい戦略を追及するよりも、生きていくためには必死で色々なオプションを試し、それを高速回転でPDCAを回すほうが、少なくともスタートアップの経営としては正しいような気が今はしています。もちろん「やってみる」ためには色んなリソースが必要で、特に「時間」が一番大切です。時間を確保するためには、どんどん人の手を借りるしかありません。とにかく「助けてください!」と色んな人の手を借りまくった一年でしたが、こうした「お願い」をたいていの人が前向きに聞いてくれるのも、大企業の時にはなかったスタートアップの醍醐味でした。(お世話になったみなさん、感謝です。恩返しできるように頑張ります。)

そして人材。この1年は、特にフルタイムのタイ人スタッフに救われました。少ないながらも優秀なスタッフが雇えたことから、「スタートアップの採用は実はとても有利」だということを学びました。優秀層の中に一定の割合でスタートアップに興味のある人はいます。そうした層に、自社のビジョンを思いっきり語れば、一定の割合でジョインしてくれるということを学びました。もちろんそうした層は非常に意識が高いので、彼らの人生にとってこの場の経験がどんな意味があるのか、を常に語っていくことが大切です。加えて採用する「順番」も大切だということを学びました。弊社の場合は最初に"魔法使い"的な器用なスタッフが入社してくれたので、彼と一緒に世界観やサービスを試行錯誤しながら一気に整え、そのあとに"戦士"的なスタッフを入れてプロジェクトをガンガン回していきました。採用する順番が逆だったらこうはいかなかっただろうなーと今振り返ると思います。

最後に自分自身のマネジメントについて。まず時間の効率がめちゃくちゃ上がりました。上記の「やってみる」ことをガンガン進めるには、とにかく悩んだり迷ったり時間をなくすことにしました。幸い、今は意思決定を全部自分で出来てしまうので、たいていのことは数秒で決めます。ただこれは負の側面もあって、後から考えれば「もっと人に相談すれば良かった」「軽々に決めるべきでなかった」と反省した意思決定もたくさんありますので、決めれば良いというものでもない、ということも学びました。いずれにしても時間当たりのアウトプット量はサラリーマン時代に比べると3倍〜5倍くらいになった気がします。

結果として、プライベートに時間を回せるようになりました。「スタートアップ=死ぬほど働く」というイメージを持っていましたが、僕の場合はそれだと多分持たないことが想像できていたし、またワガママを言って海外に来てもらっている家族のためにも、その辺のバランスはなるべく取ろうと思いました。毎日18時か19時には仕事を切り上げ、なるべく子供に勉強を教えたりするようにしていますし、毎朝学校に子供を送るのが日々の楽しみになっています。ただ色んな起業家のブログを読むと「投入時間量を増やす」というのは会社を大きくしていく上では避けて通れないと思いますし、これから色々なチャレンジが待っていることは明らかなので、いかにメリハリをつけて日々をデザインできるか、を毎日考えています。

ということで、引き続き頑張ります。たまにはこうした起業日記もまた書いていこうかなと思います。

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