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リークアンユーの体調不安がもたらす影響

先日久しぶりにシンガポールに行って、シンガポールの友達といろいろと話してきた。

今年はSG50(50周年)ということで各種イベントが仕掛けられているが、一方で気になるのがリークアンユー(LKY)の容体だ。タイ王国も国王の容体がこの国の命運を担っていると言われているが、シンガポールも、世代交代が進んでいるとはいえ、リー家に依存している国だ。特にLKYにもしも何かあった場合に、どういう影響があるだろうか?とシンガポールの友人に聞いてみると、3つあるだろうと答えが返ってきた。

1つは、経済への悪影響。LKYのみならず、現首相で息子のリーシェンロンも先日入院をした。その時シンガポールの株価は大きく下がった。図らずもリー家の存在の大きさをマーケットが証明する形となった。国家が主導して経済発展をしたきた同国ゆえ、リー家へのダメージが経済に与える影響は決して小さくないという。

2つ目は、野党の台頭があるだろう、と。PDP(人民行動党)が徹底的に野党の弱体化を図ってきたがゆえに独裁体制の維持がなされてきた歴史があるが、LKYにもし何かあると野党が息を吹き返すかもしれない。ここ最近の総選挙で徐々に与党は票を失う流れが続いており、2016年の総選挙ではさらに大きな形勢の変化があるかもしれない。そうなると移民政策の緩和、福祉政策の強化が予想されるため、経済成長にはマイナスだろう。

3つ目は、自信を喪失する国民がいるかもしれない。若い人はそうでもないともいうが、LKYはシンガポール人のアイデンティティそのものだ。国政を退いても彼の求心力はなお強く、彼を失うことで、シンガポール人がシンガポール人であるよりどころを失ったと感じる人も出てくるのではないか、ということだ。

この件については、逆に「そんなに影響ないよ」という人もいるので、実際にどんな影響をもたらすかはわからない。しかし建国50周年を迎える同国にとって大きなターニングポイントとなることは間違いなさそうだ。