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起業、人事、アジア、などなど

「日本式”で”」価値を生む

独立以来、「東南アジアで人事のコンサルティングをやってます」というと、「カイゼンとかホウレンソウとか、日本式経営ノウハウをアジアに埋め込むんですね?」とよく質問いただいたりする。

僕がやりたいのはそれとはちょっと違って、アジアでうまくいく経営は日本式とイコールではないから、言ってみれば「アジア式」の経営を、アジアの仲間と手を携えて探して、成功例を創っていきたい、ということ。

タイで繁盛しているしゃぶしゃぶ屋さんは、日本人からすればあまり美味しいと感じないお味だったりする。でもそれをタイ人がおいしいと思うのであればそれがタイでは正しいということ。ローカルがHappyに感じることは、結局ローカルにしかわからないんだと思う。

そのローカル品質を作るうえで、日本人はよいアシスト役になれると思っている。日本人の仕事の品質、経営の品質はやっぱりとても高くて、それはどんな価値を生むうえでも使えるものだと思う。「日本式”を”」売りたいのではなく、「日本式”で”」価値を生むために、日本人ができることが沢山ある。

たとえば日本人が東南アジアにお寿司屋さんを作るとする。それを「ニッポン寿司」という店名にはしない。作りたいのは、東南アジアの人が喜ぶ、「アジア寿司」。でもオーナーは日本人で、価値創造のプロセスに、日本的なこだわりがある。看板には日本という文字は書いてないけど、日本的な経営品質を通じて、日本人や日本の素晴らしさが伝わることは目指したい。そんな感じ。

この「伝えない」んだけど「伝わる」というスタンスは結構大事なんじゃないかと思っている。「”伝える”と”伝わる”は違う。伝わるまで伝えましょう」とかよく言うのだけれど、僕は逆もあると思っていて「伝える」ことで「伝わる」ことを阻害することもある。良い”おもてなし”をする人は「今からよいおもてなしをします」とは言わない。「日本の良さを世界に伝えたい!」という人よりも、何も言わずに良い仕事をする日本人のほうが日本の良さを世界に伝えてるんじゃないか、とも思う。伝えようとする行為は、それだけで相手にバイアスも与えて、本質が伝わることを時として邪魔する。

弊社の資料には「Japan」という文字はなるべく書かないようにしている。僕がやるのだからどうやったってJapan的なサービスになるし、我々のチームがJapan的な何かを持っていることは、自分が日本人であることですでに十分伝わっている。その滲み出しで「伝わる」くらいがちょうどよいような気がしている。ブランディングにおける「さりげなさ」というか。

…以上とりとめないのですが、アジアで作っていきたい価値の在り方、またそのコミュニケーションのあり方、について、久しぶりの日本であれこれ考えを巡らせたこと。

(FBポストからの転載です)