「没頭する」ために必要なこと 〜フロー理論から
昨日シンガポールの仲間内で去年の振り返りと今年の目標設定的なことをやったのですが、「没頭」というキーワードが印象的でした。
20代〜30代の参加者が中心でしたが、当然ながら、少なからずの人が「次のキャリアをどう描くべきか?またその為には今の場所で良いのか?」という健全なキャリアの悩みにぶつかります。しかし、良いキャリアを築く上で、一定期間とにかく一つの仕事に集中する、すなわち「没頭する」期間を持つことは大切だと思います。
「あの頃はとにかく無我夢中で、先のことなんて考えずに仕事したけど、あれで成長したし、自分の糧になってるなァ」
といった語りは、活躍しているビジネスパーソンからよく聞かれるものです。
神戸大の金井教授が提唱する有名なキャリアの考え方で「キャリアデザイン」と「キャリアドリフト」というものがあります。
キャリアは、人生の節目節目で定期的にデザインしなおすべきです。が、一度選んだら、しばらくは迷いを遮断して、その流れに”流されて”みる(ドリフトする)ことも必要、という考え方です。
今回話題に出た「一定期間の没頭」というのは、「キャリアドリフト」期間に当たるのかな、と思うのです。
自分自身に引き寄せてみても、1社目の退社までにはとても悩みましたが、2社目に転職してからは、自分で選んだ道だし、と腹を括ったことと、また、良い仕事・良い仲間に恵まれ、夢中で仕事をする数年間だったことを覚えています。
さて、ではこの「没頭」をどう作るか?ですが、やはりチクセントミハイの「フロー理論」がヒントになるような気がしています。
フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)
- 作者: M.チクセントミハイ,Mihaly Csikszentmihalyi,今村浩明
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 1996/08
- メディア: 単行本
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フローの構成要素は以下の8つであるとされています。(Wikipediaより抜粋)
1.明確な目的(予想と法則が認識できる)
2.専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)
3.自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
4.時間感覚のゆがみ - 時間への我々の主体的な経験の変更
5.直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
6.能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
7.状況や活動を自分で制御している感覚。
8.活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。
個人的に若手のキャリア形成時代に大事だと思うのは、6、7、8でしょうか。
6.自分にとって簡単すぎず、難しすぎない難易度であること。若手が没頭出来てない場合、意外と「仕事が簡単すぎる」ということもあるかもしれません。適度に自らハードル上げてチャレンジすることが大事です。
7.決められた指示を、決められたルールで行う、という状況に没頭することは難しいです。自分なりのやり方を工夫する領域を作れると良いでしょう。
8.活動に価値を見いだせていること。これは自身のモチベーションと密接に関係していて、「自分にとってどういう価値がうれしいのか」を認識することが大事です。社会の役に立つからといってすべての人がモチベートされるわけではありません。”世の中に向けて意味のあることをやっているから嬉しい。””誰かが喜ぶことをやっているから嬉しい。””自分色に仕事をデザインできるから嬉しい。”そんなそれぞれのモチベーションの特性を把握しておけると、自分にとっての活動の意味づけが出来ると思います。
・・ということで、僕も今年は「没頭する」1年にしたいと思います!