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歴史観がますます大事

このコラムから思ったこと。

安倍靖国参拝後の、グローバルエリートの役割 〜グローバルエリートとローカルエリートの違いとは
http://toyokeizai.net/articles/-/27369

「ひとつの国の人が思っている常識は、ほかの国から見ればとんでもない非常識であり、隣国の視点にはつねに目をそむけがちで、私たちが思っている文化的・歴史的常識も、不可避的に一方的で偏見だらけなことに謙虚になる必要がある。

要するに私たちは物事の至極一部しか知らず、全体を知ることなどできないのだから、せめて自分が無知なことだけは知っておかなければならないのである。知的な生き方とは、自分が無知であることを認識することからスタートするのだ。」

上記の考え方に共感するとともに、色々と自分に引き寄せて考える機会となった。
(このキム氏はやや変わった書き方をする書き手ですが、視点は色々と参考になることが多いです)

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1年前、あるシンガポーリアンから「国籍や民族は関係ない。我々はアジア・シチズン(市民)だという意識で組織を作っていきたい」という言葉を聞かされた。僕もそういう想いを持って仕事をしていきたいなぁ、と共感したのと、その言葉を発したシンガポーリアンというある種ユニークな存在に興味を持った。

かつてより日本人もそういう想いを抱いてきた。岡倉天心は100年以上前に「アジアは一つ(Asia is One.)」というビジョンを提示し、中国やインド、アラブも含めた文化的、文明的共通点を示した。この言葉は芸術家であった彼が文化的側面から純粋に述べた言葉だった。

しかしその後、この言葉は軍国主義に突き進む日本の政治キャンペーンに使われるなど、様々な解釈を伴って捉えられるようになっていく。シンガポールという、かつて3年8カ月日本が占領していた国でお世話になっている立場として、軽々しくはこういう言葉を発することができない、という思いも持ちながら仕事をしてきた。

もちろん、多くの親日的なアジア諸国においてはそんなことは特に意識せずとも基本的にビジネスは回るし、毎日は過ぎていく面もある。とりわけ若い世代は日本のプロダクト、文化、そして日本人に親近感とリスペクトを持ってくれている人も多く、これは海外に出てとても有難く、また大いに励まされる要素だった。

同時に自分の中では、各国の国民の歴史をきちんと知らずして深く付き合うことはできないと、少しずつアジアの、特に現代史の勉強をしてきた。もともと勉強不足な人間なので、基本的な入門書から。中でも池上彰さんの歴史本はほとんど全部読んだと思うけど、非常に参考になった。またこの1年エコノミストを拾い読みしてきて、アラブやアジアの宗教問題や民族問題はすぐそこにある問題であり、今の社会・経済に大きなインパクトを与えていることをリアルに感じることができた。

自分はグローバルリーダーと言うには程遠いのだけど、世界をグローバルに広く見渡すこと、また一方で、各国のローカルな歴史や文化に興味を示すこと、これは本当に必要なことだと改めて思う。また、日本と言う、これまで世界に少なからず影響を与えてきた国の国民として、何を語るべきなのか。これをさらに考えていく1年にしたいと思う。