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シンガポール独立記念日 リーシェンロンスピーチ(全文翻訳)

8月9日はシンガポール独立記念日でした。毎年恒例のパレードや花火があり、そして首相のメッセージがリリースされました。

移民問題で揺れるシンガポールですが、様々な国民感情に配慮した優れたメッセージだったと思います。全文翻訳をしてみましたので以下に載せておきます。(翻訳粗い部分もあるかと思いますがご容赦を・・)


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シンガポーリアンの皆さん

今私はトアパヨーにあるSAFRAクラブハウスで話をしています。SAFRAは初めてのクラブハウスとして1975年に建てられました。NS men(注:軍人)とその家族のためにより良い施設にすべく建て直されたばかりです。皆さんの貢献にささやかながら感謝を申し上げます。また、こうしたこともシンガポールが、我々が生活する環境を年々より良いものにし続けている一例と言えます。

今年一年我々はまた確かな歩みを進めました。HDB(注:公営団地)の待機を解消し、BTO(注:受注建築式の住宅)の価格を安定させ、また不動産投機や過剰借り入れを引き締めました。バスの台数を増やし、バス路線も増やしました。MRTの早朝無料化も打ち出しました。MRTの路線もさらに増やします。ダウンタウン線のフェーズ1は12月に開通しますし、それ以降も新線が開通します。ライオンズXIIのマレーシアスーパーリーグでの優勝など、文化・スポーツでの喜ばしい成果もありました。

長期的な課題にも取り組んでいます。とりわけ結婚や出産、そして人口問題です。1月に発表された人口白書には強い反応がありました。しかしそれにより人口問題への議論が深まったことは良い事だと思っています。我々は難しい選択に直面しています。我々は外国人労働者を呼びこむことで経済を支え、シンガポーリアンのニーズを満たす必要があります。また移民を受け入れることは少子化による人口減少の埋め合わせとなります。一方で人口増による混雑や、シンガポール人としてのアイデンティティの維持についてもまた懸念をしていることも事実です。我々は取るべき進路について慎重に検討し、必要な事とその限界のその両方に注意を払いながら、シンガポール人民にとってベストな選択を模索しています。
世界経済が不安定な中、我々の経済は堅調です。海外からより魅力的な投資を呼び込んでいます。失業率も比較的低く抑えられています。2013年の前半は2%成長し、今年は2.5〜3.5%と昨年より高い成長を見込んでいます。外国人労働者と移民の受け入れの引き締めをしてもなお、投資家からの信頼を得続け、ビジネスにオープンなシンガポールを維持しなくてはなりません。

世界は急速に変化し、かつ予測困難になっています。テクノロジーは我々の生活を変化させています。社会のあちこちでプレッシャーがかかる世の中です。雇用は不安定になり、賃金上昇はゆるやかになり、停滞すらしています。ますます人々の仕事は忙しくなり、また親は子供同士の学力競争を憂慮しています。

シンガポールもまた変化しています。経済は成熟しつつあり、国民は高齢化しています。異なる社会グループがそれぞれ異なる事に関心があり、それは相互に利益が相反する事もあります。高齢者は自身の医療や生活費に関心があることでしょう。若年層はより広い教育機会と、安価な住居を求めている事でしょう。我々が進んできた道はこれまでとは違うものです。従い、我々はもう一度我々の立ち位置をよく見つめ直し、方向性を再検討し、世界で生き抜く上での戦略を改める必要があります。

昨年のメッセージでは私はこう言いました。シンガポールは常に愛と希望に満ちた最良の我が家でありたい、と。その後“Our Singapore Conversation”を立ち上げ、ともに描く未来像を定義しました。多くの方が積極的に、かつ熱意を持って参加してくれました。多くの価値ある提案が出てきました。参加してくれた皆さんに感謝を伝えたいと思います。
“Our Singapore Conversation”は我々が目指す方向を具現化してくれました。シンガポールは、国民に充実した人生を送り、成功する機会を提供します。成功の定義は多くの形でなされ、多様な目標に登る様々な行き方を提示します。社会にはセーフティーネットが敷かれ心の平穏をもたらします。弱者は助けを得られ、逆に持てるものは他者に手を差し伸べる、そんな社会です。我々は目標を定め、この姿を実現すべく計画を実行します。我々はこの理想像と、実際に面している世界との融合を図っていきます。我々の競争力、機会、そして人民のポテンシャルなどをよく検証していきます。

シンガポールは極めて国際化している国です。多くの国々が我々を称賛しています。先進国も新興国も我々の考えを取り上げようとしています。全ての国民はシンガポールという強いブランドからメリットを得ています。例えば労働者は高い賃金を得ることが出来ますし、海外で働いたり学んだりする人々は外国において歓迎され、尊敬されています。ただ同時に、他の国々も急速に発展し、追い付こうとしています。我々は常に競争の先頭に立ち、この立場を維持しなくてはなりません。

変化する環境の中でも成功し続けるためには、我々の一つ一つの行動を国家運営に繋げていく必要があります。個々人の役割と、共同体としての国家のバランスをとる必要があります。我々は共同体としての意識を高める必要があります。我々は相互に助け合うべきです。恵まれない人には手を差し伸べましょう。憂慮する問題があれば自発的に取り組みましょう。社会にとって良い事のために、一体となって行動しましょう。

例えば危機的状況に際し、我々はすでにそれが出来ています。デング熱やヘイズなどの脅威が襲った際、我々はともに立ち向かい、互いを思いやりました。これがシンガポールです。個々人として自立しているだけでなく、共有化された目的と、集団としての責任感を持ち合わせています。良い時も悪い時もお互いを助け合うために率先します。この一体感を強めていかなくてはいけません。

公平で正義のある社会の構築のために、政府もより多くの役割を担っていきます。シンガポーリアンがより成功するよう、教育や生涯学習の機会を設けていきます。多くの機会が提供できるよう国家財政を豊かにしていきます。恵まれない家庭の人々は、初期教育など良いスタートが切れるよう支援をしていきます。医療費、特に高齢者医療費などの生活費を抑制する事に力を注ぎます。全ての家庭がHDBに住めるようにし、また低所得者にはworkfare(注:所得補助制度)を提供し、より公平な社会を創ります。シンガポールでは全ての人が権利があり、より良い人生を送るための十分なチャンスがあります。

しかし、これだけは忘れてはなりません。一人一人が最善を尽くし、自立し、思慮深くであることです。なぜならば、シンガポールは、一人一人が自分の責任を果たし国家に貢献することなしには成功する事はありえないからです。そしてまたそれは、我々すべてが、人種や社会階級、政治的な団体に分裂することなく、団結していることなしには成し遂げられません。シンガポールには常に、有能で、正直で、全力を注ぐことで国民から信頼を得るリーダー達が必要です。良い政府が常に考えて将来像を描き、また、国民の関心や希望を理解せねばなりません。それこそが良いシンガポールを、ともに創っていく道です。

我々はここまで大きな発展を遂げてきました。しかしさらに素晴らしい時代はこの先にあります。我々は未来を描き、そしてシンガポールの新たな歴史のページを描いて行く力があります。共に立ち上がり、全ての人々の為に、シンガポールの明るい未来を創る事にまい進していきましょう。

ハッピー・ナショナルデイ!