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海外赴任と人材育成効果について考察してみるよ

シンガポールに来てからというもの、多くの海外赴任者(駐在員)の方々との交流があります。よく海外赴任者はよく育つ、と言われますが、改めて皆さんを観察してみて、「人材育成の絶好の機会」だなぁと思うわけです。今日はこんな効果がありそうだ、というものをまとめてみます。(ツイートしたものの再整理です)


1.まずは最もよく言われる事ですが、「ポジション変化による成長」です。海外で初めて部下を持つことになったり、対外的にも対内的にもリーダーとして対峙する機会が増え、見られ方の変化を経験します。擬似的なポジションチェンジであることも多いですが、新しい役割を経験することが人を育てることは間違いありません。


2.次に「身体的負荷による成長」です。駐在員はとにかく忙しい人が多い。シンガポールの赴任者の方々も毎週のように各国に出張し、本社との調整業務などの仕事量も増え、忙しくされています。結果、ある程度肉体的に酷使されます。しかしこの「身体的負荷」が大事で、記憶のキャパシティ、処理能力、ストレス耐性、など全てを鍛える機会となります。(ちなみにこれは海外赴任に限らずそうで、20代はとにかく働け!というのと同じ話ですね。)


3.「異質な人との関わりからの成長」。海外に出ると、ホームマーケットとは勝手が異なる社外関係者(顧客やパートナー)、そして言葉の通じない部下や同僚との関わりから、「人を動かす難しさ」を嫌でも学びます。動いてもらうにはどうしたら良い?をとことんまで考える中で、対人関係スキルのいわば”持論”が芽生えるわけです。


4.最後に、「孤独な時間から得られる内省」。これが結構大事です。忙しい一方で、孤独な時間も増えます。出張は基本1人ですし、職場では言葉が通じない事も多い。多くの駐在員が孤独と向き合い悩む中で、結果として成長に欠かせない「内省」(自らを振り返り、考えを深めて昇華させる)機会となります。「適度な孤独感」による成長は、経営者が成長する原理とも近いでしょう。


ということで、やはり海外赴任は人材育成の絶好の機会であると同時に、リーダーへの登竜門だと感じます。

とはいえ、これらの条件を揃えれば「海外」でなくても似た効果を出すことは可能でしょう。つまるところ人を育てるのは「ロールプレイ」、つまり「役割演技」です。誰かの代わりを務めるとか、普段とは違う立場を体験すると、結果として多くの場合その立場が「なんとか務まってしまう」経験をする。するとその「役割としての自分」が自分のものとなり「自己認識の変化」が起こる。それが「成長」の1つの形です。

こうやって考えると、国内での学習を促すアサインメント(配置)やトレーニングでも、もっともっと工夫できるかもなぁと思ったりしました。今日は以上です。