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『「ソーシャルラーニング」入門』は2012年注目の一冊だと思う


『「ソーシャルラーニング」入門』の紹介です。最初に言っておきますが、これは読んでおくべき一冊です。

「ソーシャルラーニング」入門

「ソーシャルラーニング」入門

  • 作者: トニー・ビンガム,マーシャ・コナー,ダニエル・ピンク(序文),松村太郎・監訳,山脇智志
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2012/01/06
  • メディア: 単行本
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原書のタイトルは 「the NEW Social Learning」です。何がNewかというと、ソーシャルラーニングという概念はもともと1950年代のデューイの提唱から存在するわけですが、ソーシャルメディアの活用による「新たなソーシャルラーニングの定義」が求められている、という意味合いです。

ソーシャルラーニングという言葉も最近使われるシーンが増えていますが、「ソーシャルメディアというテクノロジーを使って学ぶ」という手法よりの発想ではなく、「(ソーシャルメディアによって形成された)コミュニティから学習しよう」という本来の意味に近い立ち位置でこの書籍は書かれています。

私が印象に残ったフレーズを以下抜粋します。

・ソーシャルラーニングの特徴として「指導する側」と「指導される側」の境界線が不明瞭になり、結果的に参加する人たちの経験を良いものにしてくれる(P3)

・学びとは、コミュニティに参加する”他の人”を通しておこるものだ。(P20)

・研修は世の中ですでに解決された問題に役立つだけだが、コラボレーションはまだ解決を見ていない問題に対するチャレンジといえる。(P21)

・21世紀の知とは、我々の友人や同僚の脳にアクセスすることによる「集合知」である。我々はともに賢くなり、またこれまで以上に困難な問題にも取り組むことができる。(P25)

・私たちは学びについて「情報を取り込むことによる変革のプロセス」であると定義する。我々の内面に取り込んでそれまでの経験と混ぜ合わせることで、我々の知識や我々のできることを変えていくことが、学びである。(P38)

・「学ぶとは、自分のネットワークの質を最適化することである」(ジェイ・クロス)(P40)

・組織におけるコミュニティとは、基本的に”同僚との学びの関係”を結ぶ場だと思う。つまり、オンラインコミュニティは個人を中心に作るべきである。(P61)

暗黙知はどうだ?それは話したり、書いたりすることによって伝達できるようなものではない。他人がしていることを見ることによってのみ、得られる知識である。(P66)

ソーシャルメディアを導入した組織には、驚くべき副産物として「自己発見の利益」があると多くの人から聞いた。一日に何度も立ち止まって、自分が何を感じ何を考えているかを見る癖は、何週間後化には哲学的な行動にもなってくる。それは禅における意識の集中に似ている。(P73)

社会学者はコミュニティ空間における「信頼性」について研究を重ねてきた。その結果、人とのポジティブな交流、他人のアイデンティティを感じる能力、および他人の意見に対峙できることが、信頼を得る鍵になっていることを明らかにした。(P74)

・オンラインコミュニティに費やす時間はきちんと管理されるべきことも事実だ。しかし、同じことは電話にもメールにも、そしてミーティングについても言えるはずである。(P78)

・学びは、人にそのやり方を聞くことから始まる。ほとんどの場合は正しい答えを知っている人にいきなり聞くのではなく、まず自分の身近な人に聴くことが始まりとなる。(P123)

・集合的なIQは、組織やチームの規模にかかわらず成功の基盤となる。それは、重要な課題に対して人々がいかにうまく集合的に取り組んでいるかの尺度である。(P156)

・共同作業空間が活発に回っているときには、形式がコンテンツに追随するのであり、コンテンツが形式に追随することはない。(P159)

・書き手のテリトリーに関する情報をなるべく減らし、情報を1か所に多く集約した方が幅広いコミュニティのためになる。どの組織の誰が言ったかではなく、トピック自体に集中するようにできる。(P166)

・(仮想空間での学習は、)従来からある「事実の集積と知識の習得」をベースにした学習と大きく異なる。仮想空間は、一緒に行動し障害を乗り越えながらスキルや能力、そして人間関係を管理していく経験ができる。(P184)

・もちろん(今まで通り)職場で困難な問題に遭遇するたびに学んでいくという方法もあるだろう。人は必要になった時には学ぶものである。しかしながら、ソーシャルラーニングが仕事の流れの一部として、はじめから組み込まれた時に起こる企業文化の変化は、まるで”目から鱗”の経験と言える。(P215)

2011年は「ソーシャルメディア元年」と言われました。私たち個人一人一人の「学び方」は確実に変わりました。自分の持っている情報をシェアし、関心の近い人とつながり、という体験から偶発的・創発的に学ぶ、という学び方を私たちは経験しました。ここについては既に起こったことです。

ここからは、それをどこまで既存の組織に応用できるかが問われるのではないでしょうか。コミュニティのあり方は、企業の「組織風土のあり方」や「ナレッジマネジメントのあり方」と密接に関係します。組織や分野の境界を越えた学びをスピード感をもって実現させていかないと、競争に勝ち残っていかないことは明らかです。デジタルデバイドや価値観のデバイドを超えて、ソーシャルラーニングに対応できる企業がどれだけ増えてくるでしょうか。2012年はここに注目していきたいと思います。

*原書もお勧めです

The New Social Learning: A Guide to Transforming Organizations Through Social Media

The New Social Learning: A Guide to Transforming Organizations Through Social Media