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「人の成長」と「植物の生長」の共通点

「人の成長と植物の生長は似てるんですよ」と以前ある方に教えて頂きましたが、改めてそうだなぁ、と思うことが最近多いです。自分なりに整理してみた理由は以下のような感じです。

1.種から咲く花の種類は決まっている
ヒマワリの種からチューリップは咲かないように、成長の過程でどのように育てようとそれぞれの種から咲く花というのは決まっています。これ、当たり前のことのようですが、ヒトを育てる場面では意外と忘れがちで、つい「○○みたいに育ってほしい」とか思ってしまいがちではないでしょうか。

どんな人材であっても、その人らしい花を咲かせるしかありません。ヒマワリの種である新人を、無理やりチューリップに育てようとしても決してうまくいきません。人材育成とは「何かを教える」のではなく、「すでに持っているものを引き出す」という考え方に私は賛成です。

2.必要なのは「栄養」と「光」
人も植物も、栄養がなくては育ちません。人にとっての栄養は、様々な人や書籍から得る「知識」や、仕事から得る「経験」です。栄養を得たからすぐに伸びるとは限りませんが、継続的に栄養を与えることなしには成長は望めないでしょう。栄養は研修や資格試験だけではなく、日常の仕事も十分栄養になりうるものですが、仕事が成長のコヤシになっているかどうかは向き合い方によります。先述した経験学習の考え方同様、適度なチャレンジと内省機会があれば、日々の仕事も良い栄養となることでしょう。

「光」とは、「誰かが光を当ててて見てあげること」ということです。他者からの期待なしに自分一人で育っていける人材はせいぜい上の2割です。それ以外の方が育つかどうかは、経営者や上司の手腕にかかっています。適切な教育は人事スタッフやプロに任せるとしても、とにかく「目をかける」ことだけは現場の上司がしなくてはなりません。期待の投げかけと、「見てるぞ」という定期的なコミュニケーションだけでも本人のモチベーションは全然違います。

3.最後は「自分で育つのを待つ」しかない

植物の生長スピードを無理やり速めることは難しいでしょう。ぐいぐい引っ張っても引っこ抜けてしまいます。しっかり光を当てて養分を与えたら、後はその植物のもともとの成長スピードを信じるしかありません。じっくり、しかし着実に育っていきます。

人の成長もこれに似た部分があると思います。上司などの周囲の人が「早く成長しろ!」といって成長のスピードが増したケースはあまり見たことがありません。むしろ、強烈な修羅場体験を経て短期間に人が育つことはありますが、それとて修羅場という栄養を吸収して、本人が自ら育ったわけです。

最終的に周囲に求められるのは忍耐です。本人のポテンシャルに見合った適切な養分(もちろん修羅場体験のようなハードなものでもOKですが)を与えたら、そこから先は待つしかありません。人間の内的成長は植物のように物理的に見える成長ではないので、成果が出た時などの「節目」にしか顕在化しません。それでも、人間も植物と同じように、じっくり着実に吸収して伸びているはずです。

ある人を使う(採用する・登用する)と決め、そして適切な栄養を与えたのであれば、上司や経営者はその人の潜在的な成長を信じていかに「待つ」ことができるか。この「信じて待つ」ことも、人材育成の大事なスキルだと思います。


今日は以上です。