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普段とは違う立場を経験することによる気付きのインパクトは非常に大きい件

今度、社内で一日のオフサイトミーティングを実施する予定で準備をしています。普段はそういうものを企画して顧客に提供する側なのですが、今回はあえて外部のファシリテーターに課題をヒアリングしてもらい、セッションをデザイン、進行してもらうことにしました。

先日ヒアリングに来てもらったのですが、今のところこれがなかなか新鮮で、新しい視点をもらえています。特に社長と社員という関係性に第三者という新たな関係性が加わることで、普段言わないような話をみんなするようになります。我々が出しているバリューの一部がまさにそれなのですが、出している側は意外とそのバリューを実感できません。こういう学びは普段の仕事からは得られない気がします。

こういう「視点の入れ替え」という手段は、学びを生み出す有効な手段です。10年ほど前に私の妻が妊娠した時は、地域のコミュニティルームにこれからパパになる人が集められて、「妊婦の気持ちを体験する講座」というのが受講しました。重いオモリを体にまとって日常生活の動作を取ってみるのですが、妊婦として生活するのが以下に不便かを体験する、、、というあれです。ベビーカーを押して街中を歩いてみる、という体験講座もありますよね。「子供を産み育てるってこんなに大変なのか!」と男性にショックとともに気づかせる、有効な手法だと思いました。

企業のトレーニングでは、上司に部下の立場を体験させるワークなんかは色々なところで行われています。普段指示の「出し手」の人たちに、逆に指示の「受け手」になってもらうことで、わかりやすい指示とはなにかを理解させる手法です。ものを売る人であれば買い手を経験させる。接客する人であれば、接客されてみる。こうした立場の入れ替えは、「固定化」した視点を新たなものにさせる有効な学習方法です。

さて、そう考えると、我々経営者が学び続けていくためにはどうしたらよいのでしょうか。トップリーダーというのは「部下はいるけど上司がいない」という立場なので、ラクですが視点が固定化しやすいなと感じます。自分の会社とは別に何かの団体で、誰かリーダーのもとで活動をしてみるというのも良いかもしれません。また、いくつになっても、どれだけ偉くなっても、メンターと呼べるような人を持ち、学び続けていくというのも重要と思います。常に自分の視点が固定化していないか?気を付けたいと思います。

世の中は繋がっているので、信用を失ったツケはどこかで回ってくるという話

採用面接で、あるキャンディデートが一見良い感じだけど、どうも態度が気になるなーと思って、たまたまつながりがあるその彼の前職関連に問い合わせたら、残念ながら素行があまり良くなかったことがわかり、採用を見送ることにした、という話。

今の時代、自分の目の前の人は他の知り合いの誰かと繋がっている確率は非常に高い。また以前は繋がっていても話題に出ない限り確認されなかったけど、今はSNSでそのつながりが可視化されているのでアクセスされやすくなっている。ゆえに、相手によって自分を良く見せたり、といったことが出来づらい時代。

悪い評判というのは残念ながら伝わるので、あるところで誰かに失礼なことをしたり、また信用を失うようなことをした場合は、そのツケはどこかで回ってくる。周囲の評判は最悪だけど、Web上では有名で著作も良く売れてる、といったことがかつてはあったけど、今はちょっと調べればそういう評判もわかってしまうので、そのギャップはだいぶ少なくなったのではないか。

求職者として気を付けたいのは、どんな経緯であれ、お世話になった会社や同僚への感謝を持ち続けること。昔から、「その人のいないところで、その人の悪口を言うな」と言います。インターネットがあろうが無かろうが、その大切さは変わっていません。

また、仮に前職での経験が良いものではなかったとしても、絶対の環境のせいにしないこと。ビジネスの状況が悪かった、上司が悪かった、等色々とマイナス要因を並べ立てることはできるけど、よほどのバッドラックでない限り、優秀な人はその環境の中でどうするか、を考えて何かしらの結果を出します。そういう経験があれば、どんな過去でも前向きに語れることは必ずあります。環境を悪く言うのは自分が努力しませんでした、と言っているようなものです。そう考えるとやはりそれぞれの在職期間が短いのは僕は気になってしまいます。「石の上にも3年」は日本だけに通じるではないと思っています。

インターネットの時代だからこそ、ますます「信用」が重要になるなー、と改めて感じた出来事でした。

マネジャーの仕事は「いなくなる」こと。

先日、バンコクで「生産性」についての勉強会をしていて、海外で働く日本人マネジャーはとにかく忙しいという話になりました。

海外日本人マネジャーは「兼務地獄」だと言われます。一つは横の兼務。経理の経験しかないのに、海外拠点は人が居ないので人事・総務・経理・ITのマネジメントを兼務させられててんやわんやになる、というのがよくある話。さらに厄介なのは縦の兼務。自分の下の現地人マネジャーがいない、または任せられないので自分がラインマネジメント業務を兼ねてしまっている、というケース。こちらは実務も発生するのでここで時間がさらに取られます。

この状況を解消するためには、とくに「縦」の方の解消をなんとかしないといけない。でも、下にいるローカルマネジャーは頼りない。じゃあその彼を外して、新しいマネジャーを採用してくるか、といってもそんなに簡単にはいかない。かくして多忙な日々は続く・・・(エンドレス)というのがパターン。

育っていないから、任せられない。でも、任せないと育たない。これはマネジメントにおける鶏と卵なわけだけど、突破口は「まず任せる」しかない。しかも、中途半端ではダメで「徹底的に手放す」ことをしないといけない。自分が手綱を持っていると、その人は本当の意味で主体性を発揮してくれない。

ポイントはいくつかあります。一つは、その会社にとって正しい人間性・価値観を持っている人に任せること。正しい価値観さえ持っていれば、スキルは伸ばせる。あとは育てる側の我慢。人間性が間違っている人を選んでしまうと、問題が起きた時に、信頼が持たない。

それからその人に正しい期待が伝わっているか。何をやってほしくて、何をやってほしくないか。その期待を明確に伝えたうえで、その範疇であれば思い切って任せてしまう。そして、多すぎない程度に、報告の頻度とレベル感を擦り合わせること。

それをしたら、最後は「いなくなる」ことです。MBA=Management by Absenseという言い方もあるようですが、意図的に自分が消えた状態をつくって、オフィスを回させてみるということも必要だと思います。自分がいなくなってもオフィスが回るような状態を作るには、自分がいなくなる時間を増やすしかありません。

自分ができているかというとまだまだですが、、、この四半期は積極的に「いなくなって」行こうと思います。

一生学び続ける姿勢は杉田敏さんから学んだ

「人生で影響を受けた人を10人挙げなさい」と言われたら、杉田敏さんの名前は必ず入れたいと思います。NHK実践ビジネス英語の講師として長年ご活躍され、今もまだご健在で講座を担当されており、長年のファンも多いと思います。自分が彼の講座を聞き始めたのは高校生の時なのでもう20年も前で、大学時代にハマって彼を目標に英語を頑張ろうとやってました。社会に出てからは少し疎遠になり、それとともに自分の英語力も低下しはじめましたが、時々思い出したようにテキストを買ったりして、細々と彼からの学びを続けてきました。

彼の書籍はこれまでも沢山読んできましたが、杉田先生が素晴らしいのは英語を教える以上に「学び続ける」姿勢を教えてくれる点です。彼自身も日本GEやPR会社バーソン・マーステラでの華々しいキャリアを歴任してこられたビジネスパーソンですし、ビジネスパーソンが成長するためにはどうすれば良いのかを豊富なエピソードとともに教えてくれます。最近杉田先生は、新しい作品「成功したければ、自分より頭の良い人と付き合いなさい」を出版されました。そこから、気に入ったQuoteをいくつか抜粋してみます。

Hang with people smarter than you. (自分より頭の良い人とつきあえ。)

Whenever you are asked if you can do a job, tell'em, "Certainly I can!" Then get busy and find out how to do it. - T. Roosevelt (ある仕事ができるかと聞かれたら、「もちろんできます」と返事することだ。それから懸命にそのやり方を見つけよ。T.ルーズベルト

Time is the scarcest resource, and unless it is managed, nothing else can be managed. - P.F. Drunker (時間は最も乏しい資源であり、それが管理できなければ他の何事も管理することは出来ない -P.F.ドラッカー

The best way to make your dreams come true is to wake up. - Paul Valery (夢を現実にするいちばんいい方法は、目を覚ますことである。-ポール・バレリー)

All things are difficult before they are easy. - Thomas Fuller (すべての物事は困難の段階を経て、やがて容易になる。-トーマス・フラー)

英語の達人の杉田先生が最初に勤めた会社はアメリカの新聞社で、大学卒業時に既に英語で新聞記事を書いていたそうです。相当なレベルですが、彼は帰国子女だったわけでも、特別な環境に恵まれていたわけでもなく、ただひたすら努力をしてその英語力を身に着けてきた人です。彼の英語は未だに最新の状態にアップデートされており、インターネットの登場で英語表現が今もなお変わっていくことを読者に伝えています。例えばSNSの登場でunfriend という動詞がword of the yearに選ばれたとか、最近はTheyの単数形の用法が増えている、といった具合です。

彼の姿勢を見ていると、学びには終わりが無いことを改めて感じます。自分はいつもタイ人の若者のインタビュー(採用面接)をしているのですが、最近の若者がよく使うなーという言葉に「Fast Leaner」という言葉があります。特に優秀な大学の生徒ほど自分はファストラーナーだ、つまりすぐに学んでキャッチアップできる、といったりするのですが、こういう自己認識の人はだいたい僕は不採用にしてしまいます。何か一つの事を学ぶということはそんなにすぐに出来ることではありませんし、すぐに身につくようなことはたいてい価値のない事です。。もちろん時間の使い方や効率は大事ですが、学び終わったという状態は永遠に訪れず、学びに対してはつねに「謙虚さ」が求められるのだと思います。

常に学びを求める渇望感と、そのために自分を律する心を持つ大切さを教えてくれた杉田先生に今もなお感謝しています。

通訳を付けて講演をするとどうなるか

昨日、日本からお招きしたゲストにタイ語通訳を付けてセミナーをやって頂きました。通訳を付けてやるというのは普通慣れていないことなので、少し大変そうでした。講師の方は普段豊富なネタと軽妙なトークで面白い方なのですが、昨日はそれを減らして、要点を絞ってわかりやすくする講義に切り替えておられて、さすがのアジャスト力に感服した次第です。

自分自身もタイ人相手に研修をやる場合は、英語かタイ語になります。そして多くの場合はタイ語でやったほうが効果が高く、残念ながら僕のタイ語力では通訳を付けざるを得ません。従い、似たようなアジャストメントをずっと試みてきました。日本語で話すときに比べて通訳を付けて話すときは、色々な調整が必要です。特に、メッセージを明確にすることを心がけています。タイ語は英語と同じで主語の次に動詞なので、なるべく早めに結論を言ってあげないと、訳す方が大変です。日本語はずらずらと修飾語を先に述べることも可能ですが、それをしてしまうと通訳が混乱してメッセージが正しく伝わらない可能性があります。

また、使うべきエピソードも大幅に変更する必要があります。組織のたとえ話にしても日本では「野球」の話をよく使いますが、野球のたとえ話が通じる国は世界では多くないでしょう。サッカーなら世界共通でわかってもらえます。また、企業の事例を出す場合でも、トヨタなどの世界的に有名な企業なら良いですが、楽天リクルートの話をしても誰も知りません。グローバルに知られている企業を例に出さないとわかってもらえません。かくして色々なコンテンツはかなり変更を余儀なくされます。

他にもありますが、やはり「アウェー」で講演するのは色々と大変で、海外講演に慣れていない方は最初は色々と苦労するようです。自分自身は既に東南アジアで5年ほど仕事をしていますので、逆に日本で話をするのがだんだん無理になるくらいコンテンツがアジア仕様になってしまっています(これはこれで結構問題)。

ちなみにこれは通訳を付けた場合に限らず、自分で英語で話す場合も同じだなと思います。自分も英語で講演や研修をする場合は、なるべくメッセージを明確に、一つ一つのフレーズを短く切って、また誰でもわかりやすい事例を使って話すようにしています。東南アジアの場合、相手が英語ネイティブではない、というのもその理由ですね。相手と環境によって自分のコミュニケーションを常にアジャストしないといけないわけです。例えていうならサッカー選手がそれぞれのスタジアムの芝生の状態によってプレーを調整するのと同じでしょうか。

次の世代のことが思える人間に

若いころは思いもしませんでしたが、人生というのはある意味で恐怖との戦いでもあるなと思います。

人間、少しずつ人生の年輪を重ねるにつれ、少しずつ「終わり」というものを意識するようになります。30代の自分が何言ってんねんと諸先輩方から怒られそうですが、少しずつ体力が落ちてきたり、子供も幼児から児童に成長していくのを感じる上で、なるほど人生とはこうやって進んでいくのね、ということを実感し、少し寂しく思うこともあります。そして年齢というのは残酷なもので、重ねれば重ねるほどその人の人間性が明らかになってしまう部分があるなと思っています。

先日まもなく70歳を迎えようかという経営者に、ご自身がそろそろ引退を考えている、というお話を聞かせていただきました。その方は決して卑屈になるでもなく、職業人としての人生にいったん線を引き、残った人生に向き合っていくことを冷静に捉えられていました。恐らくこれまで全力を尽くしてこられたからこその態度だと思いました。昨今は人生100年といいますから、まだまだ30年くらいその方の人生は続くかもしれませんが、それでも仕事を引退するというのはどれほどの覚悟が必要なのでしょうか。自分がいつか迎えるであろうその瞬間に、未練、後悔、悔しさ、嫉妬、といった負の感情が浮かんでこないものだろうか。それだけの人間性を備えて年を重ねられるだろうか、と我が身を振り返った次第です。

一方で、60歳くらいになっても残念な方はいます。本来、それぐらいの年であれば後進を盛り立てる側に回るべきでしょう。よく政治の世界で、「日本のリーダーは60代だが、海外のリーダーは40代であり、20歳の開きがある」と言われますが、やはり政治でもビジネスでも、リーダーとしてひのき舞台に上るのは40代くらいが良いような気がします。しかし、中には60代になっても名誉欲や金銭欲を強く持ちすぎている方もおり、それ自体はその人の生き方なので否定はしませんが、その下の人物がリーダーとして育つかというと難しいと思いますし、またそうした方は下の世代からはあまり尊敬されていない傾向にあるように思います。

自分が50歳、60歳になったときに、どんなメンタリティを持っていられるか。それは30代、40代の生き方にやはりかかっているような気がします。今のうちにできうるチャレンジを思いっきりし尽して、成功も失敗も沢山経験した時に、自分はもういいから後の人にバトンを渡そう、と思えるような気がしています。人生の時計の針が進んでいくことを過度に恐れるでもなく、冷静に向き合っていける人間になりたいと思います。

タスクを片付けるときに意識したい4つのこと

土日のどっちかはだいたい溜まったタスクをやっつける日に当てることが最近多く、満載になったタスクリストを片っ端から片づけます。とはいえ一日中ずっと集中して居られるわけもなく、下手すると関係ないネットサーフィンをして今うこともしばしば・・・(皆さんも経験あるかも知れませんが。。)それでも自分なりに生産性を上げるためのコツを実践するようにしているので、いくつか書いておきます。

1.細かい仕事からやっつける

タスクには重いものから軽いものまでさまざまあると思いますが、鉄則としてはまずは「細かい仕事」からやることです。具体的には領収書の整理とか、ちょっとした手続きとか。深い思考や検討を必要としないメールの処理などもこれに当たります。これらは仕事というよりは作業なので頭は使いませんが、処理必要なタスクとして脳のスペースを取っています。未処理タスクはストレスとなり脳の性能を低下させるので、片づけることで少し頭がすっきりします。もちろんあなたがマネジメントをしている人であれば、こういう単純作業タスクは部下か外部に渡していけるほうが望ましいです。

2.考える時にパソコンを開かない

さて細かいタスクを処理したら、あとはどちらかというと「考える」系の仕事が残っていると思います。資料の作成、計画の作成、などでしょうか。こうした仕事は、パソコンをあえて閉じてまず「紙とペン」で思考をしてしまうことを心がけると良いです。資料作成は、「構想を練る」ことと「資料として仕上げる」という2つのステップに分かれると思いますが、構想ができていないのに資料に着手するのは効率が悪いです。構想に変更が生じた時に、資料をいちいち直さないといけないからです。紙とペンでまず構想を仕上げてしまうほうが全体のスピードは上がります。

3.深い思考は「歩きながら」

例えば事業戦略や提案書の作成など、しっかり考える必要のあるタスクは、質の良い「思考」の時間をいかに作るかがポイントです。この思考ですが、「机に向かわない」方が思考が進むことが知られています。昔は「三上」といって、馬上・枕上・厠上、つまり馬に乗っているとき、寝ているとき、トイレにいるとき、が考えるのに適していると言ったそうです。今で言うとランニングしながら考える人は多いと思います。自分は、「歩く」ことと思考タイムを兼ねるようにしています。その際、歩く前に関連する本の目次をざーっと見て、「材料」を頭に放り込みます。その材料をもとに、歩きながら考えると、30分ほど立つと「煮詰まって」いることが多いです。

4.短期タスクと中長期タスクを組み合わせる

タスクには、「重要度と緊急度のマトリクス」というものがあることが良く知られています。もっとも意識したいのは「緊急ではないが重要なタスク」です。具体的には人材・組織開発、ナレッジ開発、ブランディング、等がこの領域に当たることが多いです。この領域は今すぐには困らないのでつい後回しにしてしまうのですが、着手しておかないと中長期的なビジネスの成長を阻害します。ポイントは、「短期的なタスクをやりながら中長期的な果実を得ることはできないか?」を考えることです。例えば一つの資料を作る場合でも、それをひな型としてナレッジ化できないか、外部にリリースして発信活動も兼ねることが出来ないか、そのタスクを通じて人を育てることができないか、等々、一挙両得となるようなタスクにデザインしなおして、仕事の価値そのものをあげてしまう、というやり方です。


以上、4つほど考え方を紹介しました。時間は有限ですから、時間当たりのアウトプットの高い仕事の仕方をしていきたいものです。